麻生区版 掲載号:2019年11月22日号 エリアトップへ

柿生文化を読む 第162回 シリーズ「麻生の歴史を探る」榛名山(はるなさん)信仰〜風祭り〜 前編 文:小島一也(遺稿)

掲載号:2019年11月22日号

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 自然相手の農民の暮らしでは、作物づくりの中で自然への畏敬を覚え、前稿富士、御嶽、大山などの信仰(講)を作りますが、これ等に並んで、今も村々の伝承に残るものに榛名山(はるなさん)信仰があります。

 榛名山とは群馬県上毛三山(赤城・妙義・榛名)の一つで、柿生岡上村郷土誌(昭和7年)によると、「古くから、暴風雨、冷害除けに、上州榛名神社に参詣する信仰で、ここから近い伊香保温泉や妙義山を訪ねている」と記しており、異常気象除けを神にすがる信仰で、多くの場合、土地に神が宿る地神信仰と結合し、各地に榛名講が作られていました。

 早野村では毎年9月1日(二百十日)に、村民が「子ノ神社」に集まって、「風祭り」を行っており、これは早野村は水田耕地が多いことから、最も暴風雨を恐れたもので、毎年4月、代参人2名がご利益を求めて榛名神社に参詣し、御師(神主)の坊(宿)に泊まり、戴いたお札を篠竹に挿して麦畑に立てたそうで、この風習は昭和20年頃まで続いていました。

 黒川村の榛名山信仰も、早野同様の異常気象、嵐除け、雹除け、晩霜除けで、黒川には上・中・下の三つの講中があり、杉の葉を下げて各講中の辻々に立てましたが、下黒川の榛名講は平成10年頃まで続いていたそうです。

 また、栗木村には三つの榛名信仰の講があり、その一つの講中は、明治18年(1885)、栗木字4号の通称高山(標高124m)に榛名山を模して築山、21年には祠を祀り、桜の木を植え、この地は眺望絶佳、その下で「風祭り」や「雹祭り」が、飲食とともに行われていたそうです。それは昭和の中頃まで続きましたが、川崎市の水道排水地が設けられて山は切り崩され、石祠は講元方に移動、現在、区画整理事業で整備された「御嶽神社」の境内に大切に保存されています(栗木 明日を語り継ぐ)。

 この榛名山信仰の岡上村講中には「榛名講代参記録 明治25年〜平成6年」が残されています。これは岡上神社に蔵されていたものを、岡上郷土誌会が纏めたものですが、これによると代参人は毎年5名、明治20年から始まり、平成7年が最終で、その間107年、昭和20年は欠けていますが、代参は106回に及んでいます。

【後編へ続く】
 

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