湯河原町音楽会(6日開催)に出演するピアニスト 廣瀬 充さん 湯河原町吉浜出身 31歳
主役が第一 控えめ主義
○…ホテルのディナーショーや結婚式、コーラスの伴奏など、鍵盤さえあればジャンルを問わずに腕を振るってきた。東京音大を卒業後プロ奏者としての活動は10年近くになるが、今回出演の音楽会はとりわけ待ち遠しい様子。母校・湯河原中学校の後輩たちに会える事はもちろん、会場の観光会館は少年時代に初の発表会に立った思い出の場所だ。本番まであと数日。誰もが楽しめる名曲を準備しているという。
○…鍵盤との出会いは八雲保育園の頃。自宅にあった電子ピアノを触っているうちに音楽教室に通い始めた。とはいえ練習漬けではなかったらしい。「学校の鍵盤でドラクエ(ゲーム)のサウンドを再現して見せたり、おかげで友達が増えました」。人を驚かすのが好きだったらしく、ある日ミカン畑に落ちている実を大量にかき集めて坂に転がした。やがて下の方から叫び声が…「当時は確かミカン戦争と呼んでました」。
○…湯河原中学校・小田原高校では吹奏楽に没頭、指揮者として専念するためにピアノから離れた。今度は自分ひとりが腕を磨くのではない。メンバー全員のモチベーションを保ち、本番までに演奏を組み合わせなければならない。こだわったのはミスを責めるのではなく、提案に徹すること。「惜しいねぇ」「もっとこうすると良くなるのでは」。主役の力を引き出す経験が現在の活動にも通じている。「自分は控えめな位がちょうどいいんですよ」。
○…主食は牛丼・カレー・ラーメン、夜はビールと焼酎を補給する。漫画の「ワンピース」は全巻揃えたのだと無邪気な笑顔。話を聞くほどにピアニストという片仮名が身近に、音楽の敷居が低くなった。鍵盤に指を躍らせる姿はきっと別人に見えるのだろう。「聴き手が喜ぶ曲と演奏者が喜ぶ曲は微妙に違うもの。このバランスが取れれば成功です」。今回も自らは脇役。会場をまるごと主役にしてしまう魂胆が垣間見えた。
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