小田原少年院に手製の雑巾を贈る足柄下地区更生保護女性会の会長 滝井トモ子さん 湯河原町土肥在住 70歳
人と人むすぶ、ひと針
○…ある人は自宅で、ある人は仲間と集まり、持ち寄ったタオルに糸を通す。今年も足柄下地区更生保護女性会のメンバー110人手製の雑巾や足ふきが完成した。「縫うこと」でつながっているのは、小田原駅近くの小田原少年院。同会が4年前から贈呈しているという雑巾の束を取り出し、赤ん坊のように抱いてみせた。「更生の支えになる」という会の綱領どおり、夏は院内の盆踊りに加わり、体育祭の応援に駆け付ける。社会復帰施設で料理の腕を振るうことも。こうした女性の特技を生かした活動が、下郡で60年以上受け継がれてきた。
○…横浜市西区の賑やかな商店街で、サラリーマン家庭に育つ。幼なじみで夫の克介さんによると「この人はマジメだよ。昔からマジメ」。繰り返すあたり、相当まじめ少女だったらしい。子どもの頃に外で遊んだ記憶も、首をかしげて思い出せない。母校は甲子園で有名なY高(横浜商業高)。ソロバン必携の学生生活を通じて簿記の資格を取り、生徒会総務委員長に就任、部活動の予算書をめくる日々だったという。卒業後に入った神奈川県庁や民間企業での経理の仕事を通じて鍛えられたのか「書類、特に数字に強くなりました」。ここ数年PTAの役員や民生委員、更生保護女性会会長などを続々と引き受け、スケジュールが空いたためしはない。
○…特技は洋裁で、孫に贈るための小さな袋からオーバーコートまで自力で作ってしまう。さらに特技を聞き出すと、おもむろに財布から27年継続のゴールド免許をとり出した。30年前に湯河原にマンションを買って住み始めたところ、「几帳面なA型」が変わったという。「この町は時間がゆったり流れてますよね。言われるんですよ、昔より心も体も丸くなったって」。傍の人を笑顔にする飾らない会長。「明るく・仲良く・楽しく」が活動のモットーだとか。更生支援の活動がぐっと身近になった。
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