箱根・湯河原・真鶴版 掲載号:2014年1月1日号
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畑宿の寄木工房で働く唯一の女性 斎藤 杏子さん 小田原市在住 33歳

人生を変えた箱根土産

 ○…工房の一角で、色とりどりの木々を隙間なく組み合わせ、金具で固めては、外す。こうして完成した塊を削り出したものが寄木細工だ。作業を黙々と続ける後ろ姿は、どこか丸みを帯びている。畑宿は日暮れが早く雪が積もりやすい場所。靴下もズボンもジャケットも重ね着が当たり前だ。

 ○…横浜市出身。手先が器用で高校生の頃からカーテンを作るなどして部屋の模様替えに凝っていたという。その延長で専門学校では店舗デザインなどを学んだ。卒業後は飲食の道に入り、熱海市のホテルなどでパティシエとして勤務。時間と戦いながら理想の「膨らみ」「焼き上がり」を追い求めた。「ケーキひとつも様々な作業、パーツの組み合わせ。材料は無駄にしてはいけない。どれも寄木細工に通じていました」。

 ○…寄木に生きるきっかけになったのが、箱根旅行で友人のために買った土産。これが今の師匠の作品だった。すぐに熱烈な寄木ファンとなり、箱根を訪れるたび、土産店に並ぶ木のグラスや器に心酔した。「こんな作品が作れたら」と募る思いと「この歳から方向転換は」というためらいがあった。「やりたい事が仕事にできるのは良い事だ」と後押ししてくれたのは両親。若手の職人たちの作品を目の当たりにして腹が決まった。履歴書を手に畑宿の工房へ。最初、師匠は難色を示したが月に二度三度と手伝うようになり、今はすっかり工房に溶け込んでいる。

 ○…仕事を吸収しながらオリジナル作品も出している。寄木ピアスやペンダント、バッグにつけるタッセルなど、作風は斬新。今の目標は、時おり師匠が音を立てて回す丸ノコの作業だ。「削ってみたいものがあって…」と取り出したのは、木の塊。不要になった端材を組み合わせたもので、上から見ると固まった万華鏡のよう。量産できない偶然と遊び心が生んだ美しさ。ここに寄木の世界の奥深さがある。女性目線での開拓は始まったばかりだ。
 

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