15の飲食店による味めぐりイベント「あったか湯河原」の実行委員長 宗政 広明さん 湯河原町宮上在住 58歳
挑戦を呼びかける大将
○…刈り込まれた髪になびく金髪。この笑顔は一度会えば脳裏に焼き付く。個性的な飲食15店がとっておきの裏メニューや賄い料理を提供する期間限定イベント「あったか湯河原」を引っ張っている。スタンプラリーなども盛り込むなど仲間と温めてきた企画。狙いは温泉だけではない湯河原の魅力を、深く知ってもらうこと。普段から忙しい店を夫婦で切り盛りしながらキャプテン役を買って出た。
○…湯河原生まれ。少年時代の憧れはドラマ「前略おふくろ様」で板前役を演じた梅宮辰夫。相洋高校を卒業後、料理人になるため横浜の仏料理店で修行を始めた。その後いったんは料理の道を離れコンクリート技師になったが、縁あって地元の焼鳥店を手伝い、これが自分の生きる道につながった。師匠の口癖は「包丁は下着」。お客様に見せない部分こそ普段から手入れを欠くな、という教訓。師匠から受け継いだタレは昭和初期から継ぎ足してきた宝物だ。冗談抜きの真顔で「万が一火事になったら、抱えて逃げます」
○…湯河原中学時代にバレーにのめり込み、20代の頃に全国大会ベスト8の成績を残している。湯河原から関西の試合会場まで応援に駆けつけてくれた女性が、隣で黙々と働く奥さん。20年前に開いた「鳥助」を二人三脚で支えてきた。店名の由来は”すけべ”の助(常連客・本人談)らしいがスタイリッシュな雰囲気で女性に人気がある。肝心の肉は驚くほどジューシーで柔らかい。
○…スマホの中には仲間の店の料理写真が何枚も収まっていた。それらを愛しそうにめくっては「どこも最高にうまいものを出してますよ。みんな現状にとどまらない。『次』を目指している」。新たなリピーターが生まれるかどうかは、店の味次第。全体が成功してほしいからこそ、店をまわって味を確かめずにはいられない。キッチンで串を焼きながらふと振り返る。背中が広かった。
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