西武小田原店で7月に写真展を開くサークルDONの代表を務める 榊原 俊寿さん 湯河原町中央在住 60歳
動物への眼差し ぶれない
○…30年ほど前にカメラを始めたのは動物を撮りたい一心からだった。40年以上の歴史をもつ写真クラブの会長を受け継いで10年。今は神奈川県西写真連盟会長や二科会写真部支部長といった重責も背負っているものの、写真の話となれば、軽やかな口調が続く。「外国の風景や野鳥や海など、来る人全員が楽しめる写真が沢山並ぶので、ぜひぜひ。…自分の展示スペースは残ってるのかなぁ」。
○…本業はペットトリマーだが、仕事場の脇に「暗室」を完備。デジカメの時代に「フイルムにしか出せない深み」を求めて現像に没頭する。そんなメンバーは会でも稀有な存在だ。室内にぎっしりと並ぶコンテストのトロフィーやアルバム。被写体は動物が多い。雪景色の鹿に会いたくて冬の丹沢を登ったり、動物園にも何十回と通った。美しく愛らしい一瞬のために2〜3時間待ちは当たり前。「空振りも多いけど、どれも積み重ね」と達観する。
○…吉浜小学校の頃から常に動物が身近にいた。「最初に飼ったのが雑種の犬。可愛いくて、気づくと自分もよく犬小屋の中にいた」。鳩や十姉妹、チャボ、思い出すときりがない。高校のころは獣医志望だったが、家業が工務店だったこともあり湯河原中から西湘高、法政大の建築学科へ。卒業後は父・孝さんと二人三脚で住宅や公共施設の施工に携わった。手掛けた建物は今もあちこちに健在だ。
○…実家を継いだものの胸にくすぶる動物への思い。そんな頃にトリマーという職業を教えてくれたのは写真クラブの師匠だった。28歳で一念発起し、専門学校に通って独立を果たす。様々なペットを見違えるように変身させ、飼い主も笑顔に変えてきた。まさに天職だが2人の子は別の道を歩み始めている。「跡取りはいないけれど、それでいい。お客さんの子犬を大きくなるまで世話をして、きれいに引退するのが目標」。一人の職人としても、総仕上げに入ろうとしている。
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