箱根湯本芸能組合で売り上げ努力1位で表彰された 真すずさん 箱根町湯本在住
吸収し続ける姉さん
○…伝統芸能を生身で伝える存在として、国際観光地になくてはならない芸者衆。お座敷に呼ばれる時間を線香が燃える時間になぞらえ「1本」「2本」と数えるのが慣わし。この本数で1位になったのは、今回で3度目。町長から表彰状を受け取った後は笑顔もほどほどに「嬉しいですがプレッシャーもあります。芸妓の見本にならなくちゃ」と気持ちを切り替えた。
○…南足柄市出身。高校時代は吉田島農林高で園芸を専攻した。ブドウやミカンの摘果も経験するなど、一風変わったプロフィールに驚くお客さんも多い。実家には桐ダンスが鎮座している。母・寛子さんが着付けを教えていたこともあり、いつの間にか着物姿が憧れの存在に。高校卒業後、芸妓募集の求人を見つけてこの世界に飛び込んだ。今も体を気遣ってくれる母は「エールをもらえる友達のような存在。大好きです」。普段の稽古は母譲りの着物で臨んでいる。
○…新人の頃、お座敷で舞う「姉さん」たちを座って見ながら、加わりたい一心で稽古を重ねた。筋肉痛の日も今では懐かしい。現在は置屋の中でも中堅的存在だが「お姉さんからも新人の子からも、そしてお客さんからも教えられることばかり」。芸の幅を広げるべく最近は太鼓も習い始めた。出勤は夕方から始まり、深夜0時を過ぎることもある。寒い湯本の夜でも、いい仕事ができれば心はポカポカ。お客さんと充実した時間が過ごせたかどうか、振り返りながら帰途につく。
○…お座敷に行くときに必ず携える愛用の「栓抜き」がある。その先にくっついているのは小さなフクロウの根付。ハンカチや名刺入れにもフクロウをあしらい、家に帰ればフクロウの置物が待っている。本人曰く「福」と重なる縁起物で何より癒されるとか。スマホ画面を取り出して「これ可愛いですよね」と見せるのは、動物園で撮ったという画像。記者もフクロウが羨ましくなった。
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