箱根・湯河原・真鶴版 掲載号:2017年7月21日号
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民生委員児童委員を長年勤め、厚生労働大臣特別表彰を受けた 桐谷 綾子さん 箱根町強羅在住 75歳

寄り添い 寄り添われ

 ○…民生委員を27年勤め、厚生労働大臣特別表彰を受けた。「何でそんな大それた賞を頂けるのか」と最初は不思議だったという。自治会長だった夫の浩之さん(故人)から「頼むよ」と言われて引き受けた時は40代。子育てと旅館の女将の仕事の二足のわらじに、もう一足加わった。助けが必要な人に気づくアンテナ役になってくれたのは地域の人々。布団が必要な人に備品を届けた事もある。経済的な苦境にあった人が自立した時の喜びは代えがたく、その人が亡くなれば想いを込めて俳句を棺に入れた。「いろんな人生に出会えました」

 ○…生まれ故郷の紹介は「『だっぺ』の奥茨城です」。実家では名産の煙草を栽培し、よく乾燥させた葉煙草の整理を手伝った。弟や妹をおんぶした背中が、濡れたおむつで冷たくなったのも懐かしい。22歳の時に浩之さんと結婚し、修学旅行でしか来たことのなかった箱根へ。家業が旅館だと知ったのは嫁いだ後だった。

 ○…高校の先生に「貴女には俳句の才能がある」と後押しされ、今も創作意欲が減る事はない。新聞の俳句コーナーの常連で作品に「登山駅」「芦ノ湖」といった地元色を散りばめる。俳句の縁で6年ほど前に「箱根かるたを創る会」に加わった。箱根の魅力をかるたにする事を思いついた前会長の清水知子さんは、完成を前に昨年他界。「思いを継ごう」と2代目会長になり、この秋に仲間と力を合わせた成果が形になる。

 ○…3年前、旅行先で突然歩けなくなり、車いすで帰宅した。正座の多い業界の職業病か膝に相当の水がたまっていたらしい。目の前が真っ暗になっていた頃、「泳ごう」とリハビリに連れ出してくれたのは長男の高史さんだった。近所の視線を避けるようにサングラスをつけて宮城野のプールへ通い、今ではバタフライで泳ぐほど。「あの日、息子と久しぶりに手を繋いだんです」と語りながらつぶらな目をいっそう細くした。

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