湯河原梅林で開催中の「梅の宴」で実行委員長を務める 木村 忠正さん 湯河原町鍛冶屋在住 46歳
先頭に立って春告げる
○…2月から3月にかけて湯河原観光の目玉となる梅の宴。町の重要行事の実行委員長を務めて3年になる。「委員会メンバーの年功序列なんです」とはいえ、かなりの重責。イベントPR活動のため川崎市方面に出かけたり、幾度も会議に加わった。会場を盛り上げるイベントや物販ブースは様々な団体が支えており、経験値の高いリーダーがいる。彼らから学ぶことも多かったからだろう、「後輩たちにバトンタッチしたい」と真顔で語った。
〇…幕山も近い鍛冶屋出身。子どもの頃に両親がペンションを立ち上げ、土日の忙しさを見ながら育った。湯河原中学校卒業後に日大三島高校へ進学。たまたま友人と入った美術部で創作の面白さを知り、専門学校では車などの工業デザインの道へ。自転車メーカーに就職した。ところが配属先は思い描いていたデザイン分野ではなく、工場の製造ライン。その後なぜか営業担当となった。頭に疑問符が浮かんだものの、取引先などと接触するうちに新しい視界が開けた。「ママチャリであっても、デザインや機能、価格など求められるものは多い」。それまで漠然としていたデザインすべきものが、くっきりとしてきた。その後晴れて商品開発部門に異動、海外ブランドの日本進出の際は製品開発に携わった。
〇…20代半ばの頃に退社し、多忙な家業を継いだ。それが自然といった口調で「いつかは戻ると思っていましたから」。故郷は海が一望でき、小川でハーブも摘めるのだと味わうように語った。「そういえば」と何かをひらめいて物置に向かった。奥から取り出したのは退社前に手掛けた自転車フレーム。雪の上でも走る新型車という。今はもう気鋭デザイナーの横顔は見られないが、ペンションはハワイのイメージを取り込んだ空間や料理がこだわり。父がそうだったように、土日に子どもたちと遊べないのが悩みの種。家族サービスの平日が待ち遠しい。
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