飲食で交流の場 区内に続々 形態さまざまコミュニティ・カフェ
「コミュニティ・カフェ」が多摩区内で続々と開設され、定着しつつある。子育て支援やシニア交流、若者のライブ会場とその形態はさまざま。近隣関係の希薄化が叫ばれる中、飲食を通じた気軽な地域のたまり場として支持を得ているようだ。
「人間の基本である食に立ち返った地域のたまり場を作りたい」
そう話すのは子育て支援活動に取り組む「NPO法人ままとんきっず」理事長の有北郁子さん。新たなNPO法人を立ち上げ、コミュニティカフェ「まめり」を日本女子大学近くに4月、オープンさせる計画という(菅馬場3の7の4エスペランザ菅101A)。「今の子どもは祖父や祖母の世代の人との交流ができておらず、年配の男性を見ると泣き出してしまう子も多い。多世代の交流が必要」と開設に踏み切ったという。
2004年からサロン型の場所を提供しているのが「NPO法人ぐらす・かわさき」(登戸2258ハウス911/【電話】044・922・4917)。週2回、「親子ひろば」を開き、子育て中のお母さん同士の情報交換の場となっている。飲食の持ち込みは自由で、子育てに関する講座などを開いている。田代美香事務局長は「初めて子育てをする人はストレスや悩みを抱えている。こうしたお母さんの利用が多い。今の住宅事情では子ども同士お互いの家を行き来するのは難しく、遊び場にもなっている」と話す。同NPOでは食と農をテーマにした新たなカフェを4月、中原区内にもオープンさせる計画という。
一方、既存の飲食店がコミュニティカフェの形態に近づくケースもある。
登戸にある喫茶店「ルグラン」(登戸2977の1井手向ヶ丘ビル1F/【電話】044・922・0100)では6年ほど前から、地元アーティストの演奏や展覧会などのイベントを開いている。信元秀治店長は「店の特徴を出すのが大切な時代。地域の人に喜んでもらって店も活気づく」と話す。
都市化で集まり場求めて
コミュニティカフェには市民団体やNPOなどが開設するサロン型、喫茶店やレストランから発展したケースなど様々な形態がある。07年に公益社団法人長寿社会文化協会(WAC/東京都港区)が書籍『コミュニティ・カフェをつくろう!』(学陽書房)を出版し、その概念が一般に広く普及されたとみられる。
多摩区内ではそのほか、オーガニックカフェ「たまりばーる」(宿河原6の26の24フジビル1F/【電話】044・813・5248)がセミナーや展示会などを開いて地域住民の交流の場を提供しているケース、レストラン「ポトス」(宿河原3の3の5小松ビル201/【電話】044・932・5091)が毎週日曜日の夜に地元の音楽愛好家を集めてライブで交流を深めているケースがある。子育て支援のサロン型では、講座や読み聞かせなどのイベントを開いている「リフレッシュサロンひらけ!ごま」(宿河原7の15の17北辰ビル1F/【電話】044・455・4478)がある。
全国では二毛作的経営も
同協会の昆布山良則さんは「コミュニティカフェは全国的に年々増えている。都市化が進むにつれ、人が集まる機会が減った。集まる場を人が求めているという表れではないか」と分析する。一方、「運営は経済的な裏づけがないと厳しい。自治体からの助成があるうちは続けられても、自立して運営できないケースもある」と指摘する。全国的にはビジネスを視点に経済的な安定を狙ったケースが増えているという。「社会奉仕の観点だけでなく、ビジネスとして展開するケースも増えている。学習塾を展開したり、(出勤前に勉強会などを開く)朝活を開いたりと、二毛作の経営を図るケースもある」と話す。
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5月10日
5月3日