サポート明確に
川崎市は東日本台風の検証を踏まえ、災害時に自力で避難できない人の逃げ遅れを防ぐ「要援護者避難支援制度」に、マイタイムライン(避難行動計画)を活用する方針を示している。支援組織と共有する取り組みを進め、迅速な避難を促す。
自らの行動を時系列で記すマイタイムラインは、台風上陸の前日や洪水警報が発令されたときに、いつ、誰が、どのような行動をとるかを決めておくもの。要援護者がマイタイムラインを活用することで、受けたい支援を明確にしていく。市は、要援護者と関わりのあるケアマネジャーなどの福祉事業所、高齢者・障害者支援団体にも行動計画作成の協力を依頼する。
避難支援制度では、平時に「訪問による支援内容の確認」を推奨しているが、実施有無の実態は把握されていなかった。市は、町会らで構成する自主防災組織に対し、訪問の有無を調査。今月、自主防災組織連絡協議会の役員会議で結果を報告し、要援護者への訪問実施を呼びかける。
「支援できず」6割
この制度では、在宅の高齢者や障害者らによる名簿登録を基に、自主防災組織などが避難を支援する。川崎市では2007年に導入され、今年3月末時点で5434人が登録している。
市は昨秋の東日本台風を受けて今年1月、市内の自主防災組織744団体を対象に、同制度の活用状況を把握するアンケートを実施。回答のあった493団体のうち、約6割の310団体が「避難支援ができなかった」と回答した。理由として「対応の仕方がわからなかった」などが挙げられた。高津区内の自主防災組織で代表を務める男性は「各町会の自発性に任せすぎている」と指摘する。市担当者は「共助を支援する制度のため、周知が不十分だった。福祉事業所や支援組織などへの呼びかけを進めていく」と話す。
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