カシノナガキクイムシ(以下カシナガ)の媒介する菌により、集団的に樹木が枯れる感染症『ナラ枯れ』の被害が川崎市内で拡大している。
今年に入り、市が管理する中原区以北の公園緑地の20カ所(9月14日時点)で、ブナ科の広葉樹の被害が報告。原因となるカシナガの飛散時期は5月から10月。市みどりの保全整備課担当者は「市内では8月末から発見報告が多数あがっている」と話す。井田山特別緑地保全地区(中原区)で10本、神庭特別緑地保全地区(高津区)では12本が感染し、民有地でも報告されている。県内では17年に初めて箱根町などで確認。市内は18年の生田緑地を皮切りに、拡大する傾向にある。
県森林協会によると、カシナガは翌年には成虫が羽化し被害が拡大するため、早期対応が重要とされる。感染樹木は紅葉シーズンを前に赤く枯れ、根元には虫が穴を空けた際に出るフラスとよばれる木くずが散乱しているのが特徴だ。大量枯死による生態系への影響を踏まえ、自然保全活動を行う市民団体が対応にあたる。カシナガは大きくなった樹木を好むことから、かわさき自然調査団の岩田臣生さんは「樹木の更新による若い林づくりが重要」と話す。
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