戦後76年にあわせ8月7日、川崎市平和館(中原区)で「平和を語る市民のつどい」が開かれた。父の沖縄戦の体験を腹話術で語り継ぐ柳川たづ江さん(藤沢市)=写真=らが講演した。昨年はコロナ禍で中止だったため2年ぶり。オンラインで同時配信もされた。
柳川さんは人形のふくちゃんとの掛け合いを通して、日中戦争と沖縄戦を戦い、戦後はPTSDで苦しんだ父親、故・日比野勝廣さん(享年85)の体験を語った。日比野さんは沖縄戦で、体に爆弾を巻き付けて敵の戦車に突っ込む肉薄攻撃の配置班長だった。
ふくちゃんの「死ななくてラッキーな仕事だったね」の言葉に、柳川さんは「自分の命令で仲間が死んでしまう。指先一つで殺してしまったと戦後もずっと苦しんでいた」と語った。
日比野さんは終戦までの3カ月をガマ(洞窟)で生き延び、戦後は100回以上沖縄を訪れた。今も残るガマに足を運び「次は戦争のない平和な時代に産んでもらえるよう母親に頼もうや」と死んでいった仲間を思い、語りかけていたという。
「戦争体験の伝え方はいろいろあっていい」と腹話術を用いて学校や催しで語り継いでいる柳川さん。「戦争は終わってからもずっと、人の中で暴れまわるもの。当時の人が手に入らなかった時代に私たちは生きている。私は『社会への興味』『人を思いやる優しさ』を持つことを心に誓っている。皆さんも心の中に平和のとりでを築いてほしい」と語った。
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