本紙では、藤井智弘多摩区長(60)に恒例の新春インタビューを行った。藤井区長は、コロナ禍を経て大きな転換期を迎えた2023年を振り返りつつ、24年のテーマに「繋」の一文字を掲げ、川崎市制100周年記念事業などを契機に地域のつながりを創出したい考えを語った。(聞き手/本紙・山本浩史)
賑わい戻るも
――区長に就任して3年目となった2023年の総括をお願いします。
「5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、長引くコロナ禍から私たちの生活が大きな転換期を迎えました。3、4年ぶりに開催されたイベントも多くあり、まちの賑わいが戻ってきたことを実感できた年でした。一方、3年あまりに及ぶコロナ禍の影響もあり、地域のつながりが少し弱くなっているのではないかと感じるところがありました。3月には多摩区の新たな地域資源としてAnkerフロンタウン生田が誕生しました。これを契機に(株)川崎フロンターレと、SDGsの達成と魅力あるまちづくりの推進を目的とした包括協定を締結。フロンタウン生田でポールウォーキング教室や『公園緑地を支える区民協働の取組』をテーマとした地域デザイン会議などを行い、新たな地域資源を生かした取り組みを進める一歩を踏み出した年となりました。防災面では関東大震災から100年という節目の年に、市総合防災訓練を南菅中学校と菅多目的広場で実施(9月)し、900人に参加いただきました」
――今年は市制100周年記念事業・全国都市緑化かわさきフェア(緑化フェア)が開催されます。生田緑地がコア会場となるなど多摩区も深く関わります。改めて区民に伝えたいことは。
「大前提として、今年が市制100周年で、その象徴的な事業として緑化フェアが行われ、生田緑地がコア会場の一つになるということを知ってもらう必要があります。多くの来訪者に、多摩区が誇る豊かな自然環境をアピールするとともに、人と自然がつながることの大切さを実感していただければと思います」
――開設4年目となる「多摩区ソーシャルデザインセンター」(多摩SDC)との連携についてはいかがでしょうか。
「多摩SDCには20年3月の開設以来、若い世代を中心にさまざまな事業を展開していただいています。昨年4月に市と運営組織との第2期にあたる協定を結びました。昨年は登戸・たまがわマルシェや菅町会子どもフェス、枡形中学校ふれあいバザーへの出店、フロンタウン生田での冬まつりなどの運営や地域団体への支援など、行政と異なる立ち位置から地域のまちづくりに関わっています。当初は登戸地区中心だった活動が現在は区域全体へ広がり、地域のつながりを創出しています。区としても、引き続き連携しながら伴走支援を行っていきます」
――登戸土地区画整理事業は、あと2年と少しで完了する予定です。
「市として25年度の基盤整備完了を目指し、取り組みを進めています。旧津久井道をイメージしたデザインマンホールの設置など、歴史資源を継承しつつ、道路空間を活用した取り組み、登戸3号街区公園でのオープニングイベントなどを活用した地域協働による新しいまちの賑わいづくりを進め、魅力的な街なみが形成されていくことを期待しています」
市制100周年事業
――2024年は多摩区にとってどのような年になるでしょうか。
「多摩区では、市制100周年を記念して3つの主催事業の実施に向けた検討を進めています。1つ目は『多摩区スポーツフェスタwith”Ankerフロンタウン生田”』。これは、例年実施している多摩スポーツセンターに加え、フロンタウン生田の2カ所で開催するものです。2つ目は『まち歩き謎解きゲーム”SHIGENARI特別編”』。これは多摩区ゆかりの武将・稲毛三郎重成を題材にした謎解きゲームの特別編です。3つ目は『生田地区における100周年記念植樹』。24年度に生田小学校下校庭に植樹を行い、生田出張所が地域コミュニティーの核となるよう取り組みます。加えて、区の若手職員を中心にグループを立ち上げ、100周年記念事業の機運醸成を図ります。今後さまざまな事業が展開されていきますので、この機会に区民の皆さまにも参加いただき、市や区への愛着を深めてもらえたらと思います。また、『川崎市総合計画・第3期実施計画』に基づき、『災害に強く安全で安心できるまちづくりの推進』『すこやかに安心して暮らせる地域福祉・健康のまちづくりの推進』『市民自治を一層進める地域人材によるまちづくりの推進』に、引き続き重点的に取り組んでいきます」
――最後に区民にメッセージをお願いします。
「今年は『繋』(つながり)を大切にしたいと思っています。一つにはやはり市制100周年。川崎市は大正13年に始まり、これまでにいろいろなつながりがありました。それを確実に次の世代につなげていきたいです。また、緑化フェアのテーマ『みどりで、つなげる。みんなが、つながる。』は生田緑地にふさわしい言葉だと思いますので、ぜひ区民の皆さまと体感したい。そして何よりも、そうしたことを契機として、地域のつながりが元に戻り、より強くなっていくよう、区としてもチャレンジしていきたいと考えています」
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