多摩川のアユ遡上数が減少していることを受け、一般財団法人神奈川県内水面漁業振興会(竹仲密昭理事長)は8月19日、高津区付近で約3千匹の成魚を放流した。
多摩川では「コロガシ」という手法でのアユ釣りが盛んで、愛好者も多い。だが今年の遡上数は、アユ釣りが解禁された6月時点で推定約37万尾(東京都島しょ農林水産総合センター調べ)。直近10年で最も少なく、約333万尾の遡上が確認された昨年同時期と比較しても、減少ぶりが際立っている。
この原因について、関係者は「昨秋の台風19号や長梅雨等の影響で多摩川が増水。アユの産卵期(10〜12月)に濁流となり、産卵に適さない状況が続いたことなどが遡上数の減少につながったのでは」と分析する。
9月 釣果に期待
同振興会では、アユ釣りの活性化を図る漁業振興対策事業の一環として、近年あまり行われていなかった「成魚」の放流を決定。19日には県内にある「厚木あゆ種苗センター」で成育されたアユの成魚がトラックで運ばれ、ホースを伝って多摩川流域に放たれた。
川崎河川漁業協同組合の組合長も務める竹仲理事長は「(放流後も)暑い日が続いており、明確な釣果は不明」としながらも、「9月に入り暑さがおさまるころ、アユも20センチ程度にまで大きくなると思われる。期待してもらえれば」と話している。
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