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持っていたら教えて昔の「湯河原名産」 戦前の温泉、今も缶づめに

公開:2011年1月28日

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メダルのような小型ゆたんぽ
メダルのような小型ゆたんぽ

 湯河原町の岩本屋旅館に残る湯たんぽに、戦前の温泉水が封入されていることが分かった。戦前まで湯河原名産として製造されていたもので、1人の旅客がまとめ買いするほどの人気商品だったという。残っているのはわずか1個。旅館ではネットなどで「持っていたらご一報を」と呼びかけている。

 旅館の主人・岩本昭司さん(80)が持っているのが、1個だけしかないという小型湯たんぽ(直径10・5センチ・厚さ2・5センチ)。ところがどこにも栓は見当たらず、注ぎ口はハンダで溶接してある。ストーブなどで温めて繰り返し使っていたようで、中には半世紀以上前の温泉が缶詰になっていた。これを考案したのが同旅館の初代・岩本権太郎。「湯治客が酒瓶などに温泉を入れて持ち帰るのを見て思いついたのでは」と岩本さんは語る。当時の看板には「湯河原名産」と大書してあり、値段は「3等」ブリキ製が22銭(当時の寿司の並程度)とある。「1等」の銀製は30円(昭和8年教員初任給が50円)という超高級品だが「実際に売られていたかどうか」と旅館側は首をかしげる。10個以上のまとめ買いもあった売れ筋だったことは確からしい。湯河原温泉の効能には定評があり、樽詰めにされて茅ヶ崎や横浜方面に発送されていたほど。大正2年に昭憲皇太后(明治天皇の皇后)が沼津御用邸を訪れた際には、宮内省の命を受けた権太郎が温泉を馬車に載せて献上した。湯河原の名を背負うかのような表情は今も古写真(左)に残っている。
 

明治36年ごろの鳥瞰図「相州湯河原温泉真景」にはただ一軒の「湯たんポ」店として描かれている。
明治36年ごろの鳥瞰図「相州湯河原温泉真景」にはただ一軒の「湯たんポ」店として描かれている。
温泉樽を小田原・箱根経由で運ぶ岩本権太郎(中央)。場所は小田原のういろう前
温泉樽を小田原・箱根経由で運ぶ岩本権太郎(中央)。場所は小田原のういろう前

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