箱根AIDエイド強羅温泉を石巻へ タンクローリーで運び足湯 黒卵など使い朝食提供も
強羅温泉の足湯が先月25日・26日に宮城県石巻市の避難所に持ち込まれた。箱根町役場や観光関連団体による「箱根温泉AID」の活動の一環で、小田原箱根商工会議所箱根青年部(駒慎司会長)が発案。箱根や小田原の企業が食材など物資を持ち寄り実現した。
AIDのメンバー45人は箱根登山バスに車中泊しながら避難所の寺院「洞源院」に到着、境内で循環型の足湯を設置した。タンクローリーで運んだ強羅温泉を注いだ湯船が完成すると、避難生活を送る人たちが続々と足をつけ、箱根旅行の思い出などを語り合っていた。避難所では干物や黒卵など、小田原や箱根の名産をセットにした朝食80食を提供。2ヵ所目の飯野川第一小学校では昼食として、うどん150食を茹で上げた。同避難所では朝昼食分としてお握りとパンが配られる日が続いており、湯気の上がる器を手にした避難者は「ダシが香る、温かい」と顔をほころばせていた。
「瓦礫(がれき)と呼ばないで」
約80人が避難する洞源院からは石巻の市街地一帯を見渡すことができる。震災の日、黒い津波はバリバリと音を立てながらわずか数分で街を覆った。石巻市内の幹線道は瓦礫の撤去が進み車が通れるようになったものの、今も広大な地域が冠水するという。家屋が並んでいたという場所に案内されたが、そこにあったのはコンクリートの基礎と瓦礫。避難者の一人・阿部文夫さん(64)はつぶやいた。「本当はこれを瓦礫と言わないでほしいんだ。瓦礫って価値のない石ころの意味でしょ。私達にとっては全部思い出があるものだから」。
炊き出し中、1センチほどの大きな蝿がたかって盛り付けの邪魔をする。今回支援物資として多くの殺虫剤が搬入された理由がこれだ。しかしなぜこんなに蝿が大きいのか―。支援活動を終えて一行のバスが海岸線にさしかかると、窓の隙間から言葉にできない強烈なヘドロの臭いが漂う。道を走るどの車も窓ガラスを締め切って走っていた。
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