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助けられたから、助ける

公開:2011年7月22日

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命綱代わりの手帳蕪木さんの携える「断酒日記」には全国の断酒会が電話番号入りで載っている。「出張があっても出張先の断酒会に参加できます。私は365日のうち320日は通いましたよ」。県内のほか静岡の断酒会にも足を伸ばし。仲間も増えたという。
命綱代わりの手帳蕪木さんの携える「断酒日記」には全国の断酒会が電話番号入りで載っている。「出張があっても出張先の断酒会に参加できます。私は365日のうち320日は通いましたよ」。県内のほか静岡の断酒会にも足を伸ばし。仲間も増えたという。

 箱根湯河原真鶴と小田原を拠点に活動する「断酒新生会」が来月3日、小田原保健センターで一般相談研修会を開く。この会はアルコール依存となった人たちと家族が定期的に語り合い、断酒の決意を新たにする集いだ。全国組織だがあまり世間に知られていない。

  * * * * *

 蕪木孝さん(箱根町宮城野在住・60歳)は20年以上前に入会した一人。「それまでは朝から飲んで仕事中も飲んでましたね。職場から出ても探したのは酒の自販機だった」。蕪木さんは学生時代に飲む習慣が体にしみ込み、結婚後も当たり前のように酔っ払っていたという。さすがに家族も体調を心配して酒を隠し始めたが、それを察した蕪木さんも隠れて飲むようになった。酒が切れると手が震えて脂汗がにじむ。飲めばピタリと止まる。数時間おきだった飲酒は1時間おきへと間隔は短くなっていった。39歳の時に妻と精神科を訪れて入院。断酒会を知ったのはこの時。会に顔を出すと自分と同じような経験をした仲間がいた。断酒の辛さ、酔って家族に迷惑をかけた話などを真剣に語り合う。それまでは酒に溺れた後ろめたさで一杯だったが、心の底から正直になれる場所だった。それからは行きたかった同窓会を断り、会社の飲みも敬遠する日々が続いた。「同僚は楽しそうに盛り上がっているのに、何で自分だけが」―日々の冠婚葬祭にも誘うように酒が待っている。娘の結婚式で勧められた杯を口にしたためアル中が再発した人もいた。蕪木さんが20年、甘酒にすら手をつけなかったのはひとえに仲間の応援によるものだ。逆に苦しむ仲間には全力で寄り添う。幻覚に悩む友からの電話に一晩中付き合った事も。いっぽう断酒や入院について家族の理解が得られないケース、世間体を気にして酒に溺れた家族を隠す家もある。

 「ある知人が忘れられない」。その人もまた深刻なアルコール依存で病院に行きたいと相談を受けていた。しかし周囲の事情で入院も断酒もできず、その後、農薬を飲んで命を絶ってしまった。アルコール依存症の41%は「うつ病」を合併するという統計もある。今回の研修会は世間が酒をくみ交わす夜の19時から始まる。「いつでも門を叩いてほしい。やめようと思った瞬間がスタートの時」と蕪木さん。詳しくは同会・諸伏さん【携帯電話】080(6502)1114まで。
 

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