「活かしたい」千枚の古写真
箱根の櫻木さんが発見
今よりも静寂そうな湯河原の温泉場、ヨーロピアンな宮ノ下の八千代橋、浜辺の存在する真鶴の湊――。今の風景とぴったり重なる大正期の写真が、箱根湯本の薬局に展示されている。
薬剤師の櫻木達夫さんは18年ほど前、横浜市で義父の良平さん(故人)が預けていた古い木箱を発見した。中に納められていたのはフィルム写真が普及する前の「ガラス乾板写真」約1000枚。1年がかりで薬局のスタッフがパソコンに取り込み、傷や汚れを補正すると、鏡で100年前を映したような箱根や湯河原などの画像が蘇った。
良平氏は写真技師で、観光土産の絵葉書などを印刷する会社を経営していた。写真はその絵葉書用や旅館PR用に撮影されたと思われるが、撮影者の記録はない。また以前箱根にあった別の印刷会社(今は廃業)から受け継いだらしいガラス板も含まれている。14年前に小田原の文化堂印刷の協力で所蔵写真の一部を写真集として刊行、その一部を薬局の店頭などに展示し始めたところ、昔の東海道線や登山鉄道などの光景を求めて鉄道ファンが訪れるようになったという。「昔の経緯は不明な点が多いですが、本当に貴重な写真。何とか活かしたい」と櫻木さん。展示は一般見学可。詳しくは箱根湯本のさくらぎ薬局【電話】0460・85・8200まで。
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