元東京藝大教授 手嶋有男さん(吉浜) 描きたい...情熱にじむ作品展
布に蝋を塗り、その微妙な厚さで色の濃淡を表現する「ろうけつ染め」。この技法で描いた作品群が5月21日まで町立湯河原美術館で公開されている。作者は吉浜に住む手嶋有男さん(83)。元東京藝大の教授で、24年前に吉浜のミカン山の中に移住。当時まだなかった町立美術館の必要性について、町長や議員に直言した事もあった。主に東京で個展を開いていたせいか、町民で知る人は少ない。ろうけつ染めを始めたのは50年ほど前。創作活動の中で偶然、別珍(ビロード)を染めると油彩画にも似た奥行きのある表現ができることを発見。試行錯誤を重ねて作品を生み続けた。
現在手嶋さんは創作から身を引いている。3年程前までは顔を近づけるように描いていたが、病で視力を失いそれもできなくなった。取材後身を乗り出すように「(記者は)どんな姿をしているのか」。もし叶うのならスケッチしたいらしい。創作への募る思いを代弁するように、作品たちが焦がれる色彩を放っている。
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