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湯河原で開催中 有機地球化学シンポで発表

教育

公開:2014年11月7日

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普段は横須賀の研究施設で働く
普段は横須賀の研究施設で働く

吉浜出身・力石嘉人さん(38)

 第32回日本有機地球化学シンポジウムが8日まで、ニューウェルシティ湯河原で開催されている。連泊で発表に立つ約60人の研究者の中にただ一人、地元出身の研究者がいる。吉浜に住む力石嘉人さん(38)だ。

 力石さんは吉浜小、湯河原中、小田高を卒業後、東京都立大に進学。現在は海洋研究開発機構(横須賀市)の主任研究員として生物に含まれるアミノ酸などの分析法や、それを手掛かりにした自然界の食物連鎖などを調べている。

 食物連鎖といえばピラミッド型の図が有名だ。底辺は植物やプランクトン、その上に小魚、さらに上に大型のマグロやサメなどが配置され、小さな生き物を大きな生き物が食べるイメージを持つ人も多いだろう。しかし実際は生物ごとにエサも様々で、プランクトンと小魚の両方も食べる者もいる。食物連鎖ピラミッドの配置は数年前まで誤差やあいまいな部分があった。

生態系ピラミッドの構造元素分析し、くっきり化

 力石さんが注目しているのは、生物の体を作るアミノ酸。アミノ酸は炭素や水素、窒素などで構成され、元素はさらに「窒素14」や「窒素15」などに細分化される。その構成比は生き物によって微妙に異なり、例えば植物プランクトンを食べた動物プランクトンを、さらに小魚が食べ…という食物連鎖の階層が上がるほど「窒素15」が蓄積される特性がある。力石さんはそれぞれの生物のサンプルから元素を分析することで、より正確な生態系ピラミッドを描くことに成功した。

深海生物など探る手がかり

 分析に必要なサンプルは魚のウロコなどごくわずかで済むため、例えば深海生物が何を食べているのか推測できる。現在他大学と共同で生態がよく分かっていないウナギの稚魚のエサなども調査中だ。またこの分析法を使えば、仮に有毒物質などが自然に流出した場合、どのように生物に濃縮されるのか正確に把握する手がかりになる。

 分析用の魚や海藻などは地元吉浜近くの岩場で調達することもある。釣っては食べ、ウロコなどを冷蔵庫に貯めて分析、図も完成させた=上図。海だけでなくミカン畑に来るハチや蝶など陸上の生態系も分析しており、親子での虫採りも一助になっているらしい。

 湯河原でのシンポ開催は、力石さんの提案でもあった。「ジオパークの一部でもあり、科学的に質がいい環境。地元で開催できてうれしい」と語っていた。
 

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