先月26日、1年3ヵ月ぶりに一部立ち入り規制が解除された大涌谷。戻った賑わいの中、新たな火山ガス監視所が公開された。
箱根ジオミュージアムと同じ建物の一角で、監視員がガス濃度を書き留めていた。喘息患者などが影響を受けるとされる二酸化硫黄0・2ppmの濃度で「気分が悪い方は監視員や従業員に声をかけて下さい」と呼びかけ、5ppmで大涌谷駅舎などへの退避を呼びかける仕組みだ。これに加えて4人の監視員が園地を見回り、体調不良の人がいないか常時チェックしている。監視所の隣には救護室もあり、酸素ボンベやベッドなども備え付けた。
天候や風向でガス濃度変化
園地では今年1月から3ヵ所での常時ガス観測を始め、ロープウェイ関係者も4月から試験運行させゴンドラ内のガス濃度を注視してきた。濃度は噴火前のレベルに近づいていると言われるが、行政も学術関係者も「減った」と明言しない。過去の数値も乏しく、その日の天候や風向きで数値は大きく変わってしまうため、よく分からないというのが実情のようだ。ガス専門家たちがゴーサインを出したのは、監視や避難誘導態勢が整った事が大きい。園地や駐車場が入れるようになった一方で、黒卵の蒸し場までの遊歩道やハイキングコースは避難に時間がかかるため、解除は見送られた。
「GW前から待ち続けていた。この大地の息吹を安全に感じてほしい」。賑わいを前に奥箱根観光(株)の石村隆生社長(70)が感慨深げに語った。急きょ再開が決まり、1年以上休止していた店舗を1週間で開店準備したという。まんじゅうを売る峰元護さん(75)は「毎日神棚に願ってきた。休止中は同じ系列のそば店で働きながらこの日を待っていた。懸命にがんばりたい」と語った。この地で働く人々の表情には緊張が混ざる。「今度いつ活発化するか分からない」、「仕事を辞めていった仲間がいる」という声もあった。
ロープウェイは運休していた早雲山駅〜大涌谷駅間もこの日を境に復活。駅前からは「火口」も観られる。園地に一番乗りした観光客の海老原秀夫さん(茨城県)は「過去に10回以上来ていたので、規制の時はさみしかった。早く黒卵が食べたい」と喜んだ。
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