地殻変動や蒸気、以前も
大涌谷周辺での火口周辺規制が始まり、1週間が経った。町は11日に温泉供給の保守関係者に条件つきで立ち入りを認め、刻々と変わる状況を分析しつつ温泉供給体制の維持に努めている。「規制は一部」という広報も繰り返してきた。
箱根ではこの1年、微小なものも含めた地震発生回数が1日あたり一桁で推移していたが、4月26日頃から100回を超え、12日現在累計2300回を超えた。こうした地震は2年前(600回)や9年前(600回)、14年前(4000回)など、度々発生している。火口周辺の出入りを規制する噴火警戒レベル2が発表されたのは地震が累計約千回に達した5月6日。2009年に警報レベル制度が導入され初の引き上げとあって、多くのメディアの注目を集めた。大涌谷の温泉造成施設の一部では蒸気が激しい音を立てて吹き出し、火山の象徴のように報道されている。これは「暴噴」とよばれる現象で、14年前にも火山活発化などによって発生し、約5ヵ月後に沈静化した経緯がある。
温泉地学研究所では大涌谷周辺の地殻は1Km先が2ミリ程度動く程度の膨張を確認しているが、こうした膨張は過去の地震活動でも発生し、いずれもおさまっている。国土地理院は11日に大涌谷の一部範囲で最大8cmの隆起を確認したが、人工衛星を駆使した調査は今回が初だった。
一連の活動について同研究所では地下深くのマグマだまりの圧が高まり、地下にたまる熱水が影響を受けたとみているが「根本原因については不明」という。気象庁では13日から現地周辺に遠望カメラや空振計(噴火等に伴う空気の振動を観測)の設置を決めるなど、監視体制を強めている。今後の規制については「仮に地震発生回数や地殻変動、蒸気噴出が落ち着いて、1か月以上は観察が必要」としており、中長期化する可能性がある。
箱根温泉旅館協同組合では、宿泊キャンセルなどの影響についてアンケート調査を続けてきたが、結果を非公表とした。ネットを通じた予約はキャンセルも簡単で数字が日々大きく変動する。部分的な数字が箱根全山と報道されるリスクがあるためだ。
国会で質問
風評の影響について山口昇士町長は「難しい問題。町が一つになり払拭に取り組まねば」と話す。行政や民間事業者などの間には気象庁が使う「箱根山」という表現に対して反発が多い。実際に箱根山という山はなく、一部の規制が箱根全体のようにイメージされる懸念だ。地元選出の井上義行議員(元気)や神山洋介議員(民主)は国会の委員会質問で「規制はごく一部」「他は平常」と伝えるよう太田国交相に念を押した。牧島かれん議員(自民)も海外への正確な情報発信のため、町と国機関との間で仲介しているという。
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