先月で30号を迎えた会報紙「共生」を発行する「共生社会の会」代表 森 孝一さん 三田在住 79歳
1日6行に思いを込めて
○…「障害のある人もない人も、ともに安心して暮らせる共生社会の実現を」。こうテーマを掲げて、09年2月から発行してきた会報紙が、先月で30号を迎えた。編集はただ一人。A4表裏を使って、障害者を取り巻く社会環境や制度の問題点を訴え、理解を求めてきた。会員のほか、近隣住民ら約40人に月に1度配布する。「自分にも障害がある。みんなも困って苦しいことがある。それを知ってもらうために作り続けている」
○…「1日6行が限界。それ以上は上手くいかない」。50歳の時、老人性難聴と診断された。さらに頸椎を痛めて手には痺れと痛みが残り、歩くことも困難になった。紙面づくりは人差し指が頼り。パソコンのキーボードを打ち、インターネットで調べては6行書くのに3時間かかる。30号のテーマは「癲(てん)癇(かん)」。これまでにも難聴や腎臓病、オストメイト、脊髄損傷、脳性麻痺など1つの病状や障害を独自の視点と客観的見地を交えて解説している。
○…現在は会報紙づくりに専念しているが、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の副理事長や川崎市身体障害者協会の理事などを歴任し、国や自治体に対して制度や支援の要望を続けてきた経験もある。川崎市中途失聴・難聴者協会の会長を務めていた2000年には会員らの運動が実って「川崎市聴覚障害者情報文化センター」が完成した。「障害者の社会参加とはまだまだ名ばかり。少しは進んできたが、芝居や落語、漫才、歌舞伎にだって行くのは難しい」。そんな思いが今の原動力だ。
○…「今はブログ(インターネットの書き込みサイト)をやってみたい」と笑顔を覗かせる。会報紙は郵送で配布しているため、予算には限界がある。「ブログならもっともっと自分の言いたいことが書き込めるから」。車イスで様々な場所に出かけるのも今の目標の一つだ。真の共生社会の実現に向け、まだまだ実践することは沢山ありそうだ。
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5月3日
4月26日