大工として初めて「かわさきマイスター」に選ばれた 濃沼 晴治さん 菅馬場在住 77歳
肩書きで表せない技術を
○…優れた技能や技術を持ち、後継者育成に取り組んでいる職人に与えられる「かわさきマイスター」に選ばれた。大工としては初めての認定だ。入母屋風住宅や数寄屋風入母屋住宅などの日本の伝統的な木造住宅建築に関する高度な技術を持ち、大工道具や職人文化の伝承に努めていることが認められた。「自分より上の人はまだまだいる。辞退も考えたが、周りの人にお祝いの言葉をもらうと嬉しいもんだね」
○…妻からも「仕事に対して真面目で厳しい」と言われるほど、昔ながらの職人気質。そのため「人から怖いと言われる」ことも多いという。建築中の家でも「引き渡すまでは大工の作品」と、依頼主が革靴で中に入ることさえ厳しく諭す。弟子に対しても「人様の大事な息子を預かる。飯を食える腕を持つ職人にしなければ」と厳しい指導をしてきた。「大工は半端な仕事じゃない。預かるお金も大きいし、奥も深いんだよ」
○…17歳で横浜の大工に弟子入りし、23歳で独立。宮大工の技術も通信教育と独学で学んだ。木材の選定は自ら産地へ足を運ぶ。墨付けや刻み作業など大工作業全般に精通し、大工道具も自作している。「大工は道具で仕事をする。道具の手入れを見ればその職人がどんな仕事をするかわかる」。自宅にはこれまで使ってきたノミやカンナ、墨つぼが大量に保管されている。「いつか大工道具博物館を開くこと。それが夢だな」
○…「技能や技術の高さは、肩書や名刺では表せない」。神輿や獅子頭、鬼瓦など伝統的な技法を駆使した木工作品を名刺代わりに作ってきた。時間があれば勉強のために京都を訪れ、自社仏閣や茶室を見て歩く。また「仕事をさせてもらってる町場のために」と地域活動に積極的に参加。近年では木工教室や中学生の職業体験も受け入れている。「昔から地元の方にお世話になった。皆に支えられている。今回で少しは恩返しになったかな」
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5月3日
4月26日