4月1日、多摩消防署の署長に就任した 日迫(ひざこ) 善行さん 川崎区在住 54歳
後進に「消防魂伝えたい」
○…6年ぶりに署長として多摩区に戻ってきた。2010年度に多摩消防署の副署長だった経歴がある。地元の人との再会に「知った顔だと、お互いに安心できる部分も多い。『久しぶり。またよろしく頼むよ』の一言が嬉しい」と顔をほころばせる。東日本大震災の発生は多摩消防署時代。被災地に向かう救援隊の壮行会に駆け付けたことを、今でも覚えている。「消防は24時間、365日体制の機動力を持っている。その自覚と共にこれまでの経験を生かしたい」
○…就任初日のあいさつでは「自分たちが働きやすい職場を作ってほしい。下からの提案を尊重したい」と署員に呼びかけた。市消防局の人事課に10年以上在籍した経験から、人材育成で常に心がけている言葉がある。故郷に伝わる「出水兵児修養掟」と呼ばれる教えに出てくる一文。『礼儀正しくして 上にへつらわず 下を侮どらず 人の患難を見捨てず』。「そういう人づくりをしていかなければ」
○…鹿児島県出水市出身。3兄弟の末っ子でわんぱくだったと振り返る。「とにかく働かねば」という意識から、高校を卒業し従妹を頼って上京。消防学校に通ううちに「人の命を預かる仕事だし一生懸命やらねば」と自覚が出てきた。現場に出るたびに消防技術はもちろん、チームの一員として先輩に公私ともに面倒を見てもらったという思いが強い。「人生2度なし。悔いが残らないように、持っている技術や消防魂を後輩に伝えていきたい」
○…「酒はたしなむほうだね。本音を話すきっかけになるから」と照れた笑顔。東日本大震災を通して感じたのは「横のつながり」の必要性。今後の課題として、地域の自主防災の力を上げるために行政や市民グループのつなぎ役を担いたいと考えている。「今後、大災害には必ず遭遇する。その時、どこにいるか。日ごろから意識を高めていくことも大切」。「日迫流」の舵取りが始まる。
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5月3日
4月26日