川崎市生活文化会館「てくのかわさき」の館長に就任した 小野 淳一郎さん 53歳
技術の魅力を伝える
○…技能職者が技を磨き市民と交流する場を作り、ものづくりの魅力を伝える「てくのかわさき」に携わり今年で9年目。「市民が気軽に、自由に利用できる施設という周知がもっと必要」と感じている。入口には、かわさきマイスターらが修繕を手掛けた時計や施設の倉庫から見つけた年代物のカメラを展示した。施設に興味を持ってもらえるように考えた仕掛けの一つだ。「日本の活力の源はものづくり。技術振興、継承のきっかけ作りが施設の軸」
○…「市民と技能職者の接点を作りたい」と、施設の主催事業を年間30講座近く実施する。今年3月は小学生を対象とした「ゲルマニウムラジオ作り」を企画。機械工作専門の技術者を講師に招き、向の岡工業高校の生徒へ協力を頼んだ。電池を使わず、微弱な電波を拾うため鮮明な音は出ない。それでも「音が出た瞬間の喜んだ子どもの表情が忘れられない」と、ものづくりへの興味を持ってもらえた手応えを感じている。
○…伊勢原市で育った。「外で遊ぶのが嫌で嫌で仕方なかった」と苦笑い。中学時代はラジオを明け方まで聞き込んだ。米軍基地関係者に向けた放送を受信した時は「外国からの電波を受信していることに感動した」という。大学卒業後はメーカーへ営業職として勤務。「手に職をつけよう」と7年後に退社し、現在の神奈川県労働福祉協会へ転職。同会が運営する宿泊施設の管理運営を任されていたことも。送迎のため大型免許、電気工事士、ボイラー技士などの資格を取得し、技術を活用した。
○…足柄上郡に妻と二人で暮らす。最近の趣味は「酒蔵巡り」。休日は山梨県や長野県を訪れている。気候によって微妙に変化する味を職人が均一に調整する姿に感銘を受けた。「自分の腕一つで生活できるのはすごい」。頭の中には既に『発酵』を題目とした講座が浮かぶ。「自分が感動したことを伝えたい」。技術者への尊敬の思いが活動の原動力だ。
|
<PR>
|
|
|
|
|
|
5月3日
4月26日