鉄道小説大賞で相鉄賞に輝いた 井々井(いいい) 楠梨(くすり)さん(本名:前田 和宏さん) 生田在住 28歳
とことん「地べたの視線」
○…どことなく幼少期の自分を重ねる「ヒロ君」が電車になりきり、溝蓋「グレーチング」や歩道の線を線路にして走る。20年余を過ごした相鉄沿線の町を舞台に、ミクロ(極小)な目線で母親との暮らしの一コマを描いた。「町を細かく見るタイプなんだなって」。ふと、改めて気づかされた。
○…小2のころチェロを習い始め、クラシック音楽の世界に身を置く傍ら純文学にのめり込んだ。高校では友人と文芸同好会を結成。短編小説を5本書き上げ、同人誌を年1回発行した。作家の故・澁澤(しぶさわ)龍彦氏に憧れていた当時、妻が住む北鎌倉の自宅を、教員の力添えで訪問。知識量の多さを表す本棚の巨大さに打ちのめされた。「書くためには勉強しないと」。東京大学総合文化研究科で社会学を専攻。今春からは、音楽指導者の団体に勤めている。
○…忙しかった両親に代わり、19歳のとき住んでいたマンションの管理組合の理事に。植栽や駐車場の改修を進めていくうちに、「町中の人工物は誰かの意志で形になってるんだ」と実感した。多摩区に引っ越して2年。「中野島、稲田堤は川に面していて港町っぽい。遊園や登戸、生田は駅前に空気がたまったような重厚感がある」。地元周辺をもっと知ろうと、昨年は南武線川崎駅と立川駅を自宅からそれぞれ自転車で往復した。「生田は若者も年配の人も夜までにぎわっていて楽しそう」。町内会の新年会に呼ばれるなど、近所付き合いも広がりつつある。
○…最近は仲間内で、有名な俳句に音楽をつける遊びに没頭する。「カラオケと同じで、誰でも楽しめるとっつきやすさがある」。稲田堤で出会った中古本のSF小説に影響を受け、次回作の構想につなげようと密かに模索中だ。「目の前の楽しいことを、やる」
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